「変わらないねぇ」の落とし穴。喜んだあなたはすでにハマってる!?



この夏、故郷に帰省したという人も多いのではないでしょうか? 懐かしい顔ぶれ・古なじみの友人に会って旧交を温めるのも、帰省の楽しみのひとつです。
 
さて、久しぶりに会った旧友や恩師、親戚がよく言うのが「○○さんって、変わらないねぇ」というフレーズ。この「変らないねえ」は年をとっても見た目が変わらないという意味ではなく、久々に会っても性格やふるまいが昔のまま変わっていないですね、という意味がほとんどで、きっとみなさんも一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
 
ところでこの言葉を聞いた時、あなたはどう感じますか? 「変わってないねえ」と言われて、どこか安心したり満足したりしてはいませんか?
 
もちろん「変わってないねぇ」という言葉を、無理にネガティブに捉える必要はありません。大抵は「いつまでも変わらずいい人ですね」という素直な褒め言葉でしょうし、人によってはつかみの挨拶のようなもので、特に深い意味がない場合もあります。
 
ただ、「変わってないねぇ」と言われることに安心感を覚えてしまうと、次から「変わったね」と言われるのを恐れて、ついついその時の自分を維持しようとしてしまいがち。それは少々危険なことです。
 
子供の育て方・教育論に関して、こんな話があります。
 
自分の子供がテストでいい点数をとった時、どのように褒めるのがいいか、というテーマで、A君には「ほんとに頭がいいね」、B君には「ほんとによく頑張ったね」と褒めてあげます。すると、数年後二人はどのように成長するでしょうか。なんとA君は挑戦を避けて努力をしない性格になり、B君はより困難な課題に取り組み努力を惜しまない性格になるというのです。
 
二人とも同じように褒めたはずなのに、一体どうしてこのような結果になってしまったでしょうか。それは結果にフォーカスを当てるか、過程にフォーカスを当てるかの違いです。A君は「賢いね」と褒められたいがために、「賢い」自分を保とうと難しい問題に取り組まなくなります。「やっぱり賢くなかったね」と言われることを、自然と恐れてしまったというわけ。一方B君は、努力したことを褒められたわけですから、その後も積極的に努力するようになったのです。
 
この実験は少々極端ですが、今回取り上げている「変わらないねぇ」問題にも当てはめることができます。
「変わってないねぇ」に安心し、「ふふふ。そうでしょう!?」と満足してしまったあなたはまさにA君の状況。変わることを恐れ、自分を維持しようと冒険心やチャレンジ精神を失ってしまっている可能性があります。それではいつまでたっても成長することはできません。
 
「変わったね」は別に悪い言葉ではありません。人が生きていき、成長すれば変わるのは当たり前。もちろん時には悪い方向に変わってしまう時もありますが、その時はまた方向修正して変わっていけばいいだけです。
 
これからは「変わってないねぇ」ではなく、「○○さんってなんか変わったね(ステキになったね)」と言われるようにさまざまな挑戦をして、いろんな自分を開拓、発見していきましょう!